芝生を張ったあとは水やりをしていればOKと考えている人もいるようですが、決してそんなことはありません。きれいな芝生を作るためには肥料はゼッタイ必要です。植物にとって最も大事なのは「光合成」ですが、自宅の庭で芝生を張ってきれいに管理したいと思うのであれば肥料を上手に使いましょう。水やりだけに頼ると栄養不足に陥ってしまいます。
また、成長させるためにたくさん肥料をまけばいいというわけでもなく、あげ過ぎると雑草が生えやすくなったり病気になりやすいというデメリットもあります。芝生の肥料の撒き方ってカンタンなようですが、実はいろんな注意点やコツがあります。
芝生肥料の種類と選び方
芝生の肥料も様々あり、それぞれ使い分けが必要です。まずは肥料の種類・分類がどのようになっているのかを把握することが大事です。
芝生の肥料の種類
芝生の肥料をおおきく分類すると、化成肥料と有機肥料に分けられます。化成肥料は人工的な肥料、有機肥料は自然に近い肥料と思っていただいて結構です。化成肥料は直接的に芝生に栄養素を補給してあげる効果が強く、効果が出始めるのも比較的はやいのが特徴です。化成肥料はさらに固形肥料と液体肥料にわけられます。固形肥料とはつまり粒タイプの肥料のことで、液体肥料はそのまんまですが液体タイプの肥料で、水に希釈して芝生に与えます。一方の有機肥料は土壌に栄養を与えるという意味合いが強く、土壌改良を通じて強い芝生を育てていくサポートをするという役割があります。
粒タイプの化成肥料、液体タイプの化成肥料、有機肥料、いずれも役割が違いますので私は全て買い揃えています。化成肥料は一切使う必要ナシという方もおられますが、自宅の庭で芝生を張って楽しむいわばアマチュア(素人)であれば化成肥料を上手に使う方が確実にきれいな芝生に近づけます。ただ、化成肥料ばかりだと土壌がやせていくので同時に有機肥料も使い分けるほうがよい、それが我々アマチュア芝生愛好家が目指すところではないでしょうか。
化成肥料(これは粒タイプ)
化成肥料(これらは液体タイプ)
有機肥料
なお、化成肥料に主に含まれている「窒素ーリン酸ーカリウム」のそれぞれの役割ですが、窒素は葉や茎の成長を促進させ葉色を良くさせる効果があります。ただし、与えすぎると病害虫に弱い芝になってしまうので要注意です。リン酸は根の発育や芽の成長に良い影響を与えます。カリウムは根や茎の成長を促す作用があります。いずれも芝生の生育にはとても大事な栄養素なので、化成肥料は有効に活用しましょう。また、これらの栄養素以外に「ケイ酸」「鉄」「カルシウム」「アミノ酸」が配合されている肥料もあります。「ケイ酸」や「カルシウム」は芝をより丈夫にする作用がありますし、「アミノ酸」は葉色を鮮やかな若草色にする作用があります。そのように凝ってみて肥料を選んでみると、より芝生のお手入れがおもしろくなるでしょう!
化成肥料の選び方
まず化成肥料の選び方ですが、栄養素が多過ぎる肥料は避けた方が無難です。化成肥料のパッケージに「14-14-14」のように3つの数字が記載されており、意味としては「窒素ーリン酸ーカリウム」がその肥料にどれくらい含まれているのかを示しているんですが、その一番左側の数字が大きい肥料は使い方が難しいと認識しておきましょう。一番左側の数字とはつまり「窒素」の含有量を示したものですが、窒素がたくさん含まれている肥料を与えすぎると病弱な芝生になったり雑草が生えやすくなったりするというリスクがあります。それを避けるためにも窒素含有量がほどほどの肥料を選ぶようにしましょう。使いやすいのは窒素の量が「10」くらいまでの化成肥料です。化成肥料には「14-14-14」のようなオール14と呼ばれる高度化成肥料も市販されていますが、窒素・リン酸・カリウム全てがしっかり含まれているので厳格なコントロールに自信がない方は避ける方が無難です。
なお、私が化成肥料を使うときはバロネスブランドの肥料を使っています。これは「10-10-10」、つまり窒素・リン酸・カリウムがいずれも10%ずつ含まれているということです。これを説明書き通り、もしくはそれ以下くらいのやや少なめで使用して芝生の管理をしています。
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芝生初心者でも使いやすい化成肥料なのでおすすめです。
液体肥料を選ぶときも同じように考えれば大丈夫。液体肥料はさほど種類も多くなく、売れ筋としては「ハイポネックス」や「メネデール」などがあります。私は基本的にはあまり化成肥料はたくさん使いたくないと思っていますので、窒素の量がより少ない「ハイポネックス」を選んでいます。
有機肥料の選び方
有機肥料の選び方については実際のところ好みの問題が大きいのですが、芝生愛好家にとても人気があるのは「スーパーグリーンフード」で私も愛用しています。「スーパーグリーンフード」が素晴らしいのは微量要素がしっかりと含まれているという点です。微量要素とは「マンガン・ホウ酸・鉄・亜鉛・銅・モリブデン」などがあり、これらも芝生が生育するに必要不可欠な栄養素です。化成肥料ではこれら微量要素は含まれていないものが多いので、それを補ってあげるという意味でも有機肥料は重要な役割を果たしているのです。もちろんそれ以外にも有機肥料ならではの土壌改良効果もしっかりあるので、我が家では化成肥料(粒タイプと液体タイプ両方)と有機肥料の3つを組み合わせながら芝生管理をしています。
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栄養素を与えて芝生を元気にして、なおかつ土壌改良効果やサッチ分解効果もあるのでとても有効な肥料です。有機肥料というと難しいイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはなく、むしろ化成肥料よりも気軽に使える肥料だと思います。
参考記事:
芝生の肥料の撒き方
芝生の肥料の撒き方の注意点をご紹介します。適当に散布しておけばOK・・・というわけではありません。失敗しない肥料の撒き方を覚えてしっかりときれいな芝生作りを目指しましょう。
分量は必ず守る
大原則として説明書に書いてある分量をしっかり守ること!当たり前ですがこれが鉄則です。もっと密度の高い芝生を作りたいとか、芝生に元気がないからといって説明書に書いてある以上の肥料をドンドン投入するのはゼッタイにNGなので気をつけてください。肥料には必ずパッケージなどにこのような施肥量の目安というものが書いてあります。
年間の施肥スケジュール
原則としてはこれを目安にすること必ず心がけてください。なお、ここに記載されている量はあくまでも目安なので適宜調整するようにしましょう。私は化成肥料はやや少なめにしたいので、このような説明書よりもやや少なめに施肥することにしています。
事前に芝刈りをする
特に粒タイプの肥料を撒く場合は事前に芝刈りをしてから撒くことをおすすめします。粒タイプの肥料はしっかりと地面から根っこに吸収されてはじめて効果を発揮します。もし芝が伸びた状態で固形肥料を散布すると、芝の葉先などに肥料がひっかかって地面に到達しない可能性があります。そのまま強い日光を浴びたりすると「肥料焼け」の原因にもなりますので、できるだけ肥料焼けのリスクを減らすためにも芝刈りをして短くサッパリしてから肥料を撒くようにしましょう。また、固形肥料を散布した後に芝刈りをすると、芝の葉に引っかかって地表に落ちていない肥料を芝刈り機が回収してしまうことがよくあります。せっかく散布した肥料なのに芝生に吸収されずに芝刈り機に吸収される・・・なんて悲し過ぎますよね?そうならないためにも、しっかりと芝刈りをしてから散布することを強くおすすめします。
ムラなく撒く!
肥料を撒くときはムラが出ないように気を付けてください。一か所に肥料をドバドバ撒いてしまうとそこの芝生だけが異常に繁殖したり色が濃くなったりして全体のバランスが崩れてしまうので、均一に散布できるよう注意しましょう。ちなみに私の失敗談ですが、肥料やりを子どもと一緒にやった時、子どもが撒いたところがどうしてもムラだらけになってしまいました。小さな手でつかんだ肥料を一か所に集中投下したのです 笑 こうなるとムラができる原因にもなりますし、肥料焼けをおこしてそこだけ変色する可能性もあります。子どもと一緒に作業をするととても楽しいですが、その辺だけは注意して下さいね。
大人の手で固形肥料をグッとひとつかみするとだいたい40g~50gの肥料をつかめます。それを目安として全体的に適量を撒いていくと良いでしょう。コツとしては、散布するのを2回に分けるということです。一回だけではどうしてもムラができやすくなるので、面倒かもしれませんが2回に分けて散布するとより均一にまくことができます。
なお、ある程度以上の広さの芝生になってくると手で均一に肥料をまくのは大変難しいので、そういうときは便利アイテムはこちらです。
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背負い式ではなく手押し式なので長時間の作業でも楽にできちゃいます。
窒素の量をベースにする
化成肥料を与える時は窒素をどれくらい与えるのか?をベースにして散布しましょう。これは化成肥料を撒くうえで非常に大事なポイントなのでぜひ覚えてください。おおよその目安としては一回の施肥で与える窒素の量は1㎡あたり2gが良いとされています。「8-8-8」という化成肥料を使っているのであれば1㎡あたり25gの肥料をまくと与える窒素の量は2gになります。「10-10-10」の化成肥料を使っているのであれば1㎡あたり20gを散布すれば与える窒素の量は2gになります。もし芝生がいまいち元気がないのであればもう少し減らしたりするのもOK。あくまでも窒素をどれくらい与えているのか?を常に意識しながら化成肥料を使うようにしましょう。
散布後の水やりは大事!
固形肥料をまいた後は必ずしっかりと水やりをしましょう。水やりをしっかりやる理由としては、水に溶かすことで地面から吸収されやすくなるということと、葉先についている肥料を水圧で地面に向かって叩き落すという2つの理由があります。上述の通り、固形肥料はしっかりと地面から吸収されなければなりません。地面から吸収されるためには地表まで固形肥料が到達していなければならないので強めの水圧で水を撒くことをおすすめします。
強めの水圧で水やりを!
なお、雨が降る前に肥料を散布して水やりの代わりに降雨で済ませるという方法もありますが、シトシトと降る弱い雨では固形肥料が芝の葉先から落ちない可能性もあるので注意が必要です。思っていた以上に雨が降らなかったのであれば、その後にホースやジョウロなどでしっかりと水まきをしましょう。
弱っている時は施肥を控える
病気などで芝生が弱っている時は肥料を撒くのを控えるほうが無難です。人間だって風邪をひいているときに高カロリーのご飯を食べさせられると逆に体調を崩してしまいますよね?芝生もそれと同じでトラブルに見舞われて弱っているときは肥料は控えるようにしましょう。もし肥料を与えるのであれば液体肥料をうすめに希釈して散布するくらいがちょうどいいと思ってむしろじっくり見守って今よりもひどくならないことに神経を使ってください。
有機肥料はニオイがする
スーパーグリーンフードなどの有機肥料は独特のニオイがするので使い方には注意が必要です。私は有機肥料についてはスーパーグリーンフードしか使ったことがありませんが、スーパーグリーンフードは俗にいう「堆肥」のようなニオイがします。庭で撒いた翌日に家族から「何かくさい」と言われたことがあります。自分の家族ならまだしもご近所さんからくさいと思われると無用なトラブルを引き起こしかねないので、匂いがする有機肥料を使うときは注意が必要です。なお、この匂いを軽減する方法としては、散布する前日から有機肥料の封をあけて庭に置いといてから散布するという方法と、散布後にしっかりと水やりをするという方法があります。
朝か夕方に散布する
芝生の肥料の撒き方の最後のコツですが、それは朝か夕方に撒くということです。なぜなら、肥料をまいたあとはたっぷりと水を撒きますが、芝生の水やりというのは朝か夕方にするのが原則だからです。つまり、もし昼間に肥料をまくと昼間にたっぷりと水やりをすることになりますが、それはできれば避けた方が良いので朝か夕方に肥料を撒くこともちょっとした肥料の撒き方のコツなのです。
以上、芝生の肥料の撒き方の注意点とコツでした。肥料一つとってもいろんなコツがあるので難しく考えすぎるとハードルが高くなってしまうと思います。そんなときはまずは少量の肥料をまくことを心がけましょう。個人的には肥料は少なすぎるよりも多過ぎるほうがデメリットが大きいと考えますので、まずは少しずつ与えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか?